機密 文書 リサイクルの心をつかむための施策

国民車の生産は、スハルト大統領の三男が経営するチモール・プラト・ナショナル(TPN)に限って認められた生産体制が整っていないため、特別措置として、一九九七年夏までに輸入する完成車についても関税は課さないとした当面は韓国の起亜自動車に生産を委託して、完成車「チモ-ル」を国民車として輸入することとなった。 一九九六年九月に発売にこぎつけた乗用車「チモ-ル」は、起亜の「セフィア」をベースにしたものである。
販売価格は百七十九万円で、インドネシアで売れ筋だった同クラスの日本車のほぼ半額である。 それまで、インドネシアの自動車市場の九Oパーセント以上を日本車が占めてきた。
それだけに、日本車メーカーは優遇措置を得て低価格を設定したチモール社やインドネシア政府に対して反発した。 「チモ-ル」の国産化率を三年以内に六Oパーセント以上とする具体策を明らかにしないまま認定されていたし、さらに、特別措置として、CKD(完全現地組み立て)生産がはじまる一九九七年五月までのノックダウンによる組み立て、販売についても免税されていたからだ。
不公正な貿易を禁止したWTO(世界貿易機関)の協定に反するとして、同年十月、日本、欧州連合、アメリカが提訴した。 インドネシアへの進出合戦一方、日本車メーカーも、「チモール」より一ヵ月早く発売された本田の「シティ」の価格を低めに設定し、二百五十万円とした。
「シティ」は、タイに続いて、インドネシアでは現地企業に委託して生産をはじめたが、国産化率は三01三五パーセント程度だという。 さらに、スズキがインド・モピルと合弁で生産しはじめた乗用車「パレノ」は、価格を二百万円余に設定した。
韓国の自動車産業は、国家的戦略産業、輸出産業として、重要な位置づけがなされており、政府の主導によって業界の再編や保護政策がとられてきた。 おもな自動車メーカーが生産を開始したのは、六0年代前半から後半にかけてである。

いずれも、日本や欧米のメーカーとの技術提携によるノックダウン組立生産で、一九六二年に発令された自動車工業保護法に守られながらのスタートだった。 メーカーが続々と設立され、一時は主力五社、現代、起亜、大字、亜細車、双龍を含め三十社にまでふくれ上がった。
ため、一九七二年には企業数の集約措置がとられ、一九七四年には長期自動車工業振興計画によって最重要戦略産業とされ、強力な育成政策がとられるようになった。 ただし、圏内需要が乏しいため、輸出産業として育成されることになった。
この点は日本と性格を異にする。 このころから、外国メーカーの技術支援を得て、独自の国産モデルを開発する動きが活発になり、一貫生産に向けた設備投資も急増して、二年後には生産能力が二十二万台となった。
時期の一九七五年、トップ企業の現代自動車が三菱の技術供与を得て一二OO∞の国産車一九七九年の「ポニ-」の生産台数は二十万台、輸出は三万台に達したが、圏内市場の販売は依然として伸びなかった。 一九八O年、八一年になると、生産は十二万1十三万台に落ち込んだ。
そこで、政府は自動車産業合理化措置をとり、「五年後に百万台生産、五十万台の輸出」の目標を掲げ、現代、大字が乗用車、起直が商用車に特化して生産するという集約、再編を行なった。 八0年代半ばのプラザ合意以降、円高が急速に進行したため、輸出競争力が一時的に落ちた日本車かんげきの間隙を縫うようにして、韓国製自動車の輸出が急激に伸びた。
ピークとなった一九八八年には五十七万台となり、百十万台に達した総生産台数の過半数を占めるまでになった。 こうした輸出に依存する政策はおのずと圏内市場の開放も迫られ、一九八七年、韓国政府はそれまでの保護政策から自由化政策に転換して、同年七月には大型乗用車を、翌年七月には小型乗用車の完成車輸入を解禁した。
一九八九年になると、韓国車の輸出のほとんどを占めていたアメリカで品質問題が表面化して、量は半減、以後、三年連続して三十万台の水準に低迷する一九九O年には生産が百三十万台に達し、輸出は三十五万台となった。 後の生産は、毎年十数パーセントの伸びを示し、一九九六年の生産は二百八十一万台、輸出は百二十一万台に達している。

韓国車の最近の特徴として、アメリカ中心だった輸出先を、世界各国に広げ、とくにヨーロッパ市場での販売を伸ばしてきた。 一方、国内需要は頭打ちとなり、過剰となっている生産を輸出でさばこうとする姿勢が目立っていた。
最近では、技術的にむずかしいエンジンや安全、環境に関連した技術を独自開発する動きが活発化している。 さらに、ヨーロッパ、アジア諸国への工場進出、現地生産も目立っており、とくに欧米の大手自動車メーカーと連携(合弁)した生産もさかんである。
こうした華々しい数字が掲げられる反面、建て前としていわれている部品の現地調達率九Oパーセントの中身にはかなり疑問もあり、産業の足腰となる部品メーカーの技術力、競争力も問題がある。 韓国自動車産業の発展過程では、初期段階から、提携先である日本の自動車メーカーの技術供与、指導がかなり入っており、日本的生産システムも積極的に導入されてきた。
東南アジアにおいても同様である。 一九八九年以来、販売ではつねに二桁の伸びを記録して、順調な発展を遂げてきた韓国の自動車産業は、各社とも生産設備を急拡大し、加えて、大手財閥が横並びで自動車事業に進出したため、生産能力は次のように増大した。
将来計画をみると、一九九六年の生産能力が約三百五十万台であるのに対して、二000年代初頭には、圏内の生産能力が五百万台、海外の生産能力は二百万台と合計七百万台にもなると予想されたところで一九九七年前半からはじまった通貨ウォンの下落にともなう深刻な経済危機によって、圏内の販売台数が伸び悩み、販売競争は激化し、大幅な値引き競争が行われているため、稼働率の低下とあわせて、各メーカーの赤字額を大きく膨らませることになった。 国内販売の不振を補う輸出も、新規の市場が一巡したこともあって、生産設備の拡大に見合うほどには伸びなかった。
まで、低賃金を武器に急成長をとげてきた韓国の自動車メーカーも、労働運動の高まりもあって、賃金水準が上昇し、生産コストも上がったことに加えて、設備投資の負担がのしかかった。 稼働率が下がれば、採算が一気に悪化することは自にみえていた。
このため、一九九七年七月、韓国第二位の自動車メーカーである起亜が数百億円の赤字を出して事実上、倒産した。 一九九八年七月には、国際入札による売却を正式公告した。
輸出主導による無謀なまでの拡大路線が破綻したのである。 韓国政府は経済の再建を図るため、IMF(国際通貨基金)からの支援を受けることになったが、条件として、大手財閥は、手を広げすぎたさまざまな事業を整理する、大々的なリストラを余儀なくされて、採算がとれる得意な部門だけを残す方針となった。

日本からの車の輸入には制限を加えて、事実上、閉め出していたが、一九九九年から開放することが決まっている。 に、日産の支援を受けた韓国最大の財閥である三星が自動車事業に進出して、釜山で年産八万台の組立工場が稼働し、一九九八年三月から販売を開始したことから、生産設備はさらに大幅な過剰となった。

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